「ミンナのウタ」を観た!感想など

✔はじめに

この記事は、JホラーとLDH双方のオタクが書いています。

LDH所属のGENERATIONSが本人役そしてアーティストという職業をそのまま生かした設定のホラー映画「ミンナのウタ」、めちゃくちゃちゃんとしたホラーだった。どうちゃんとしてるのかを備忘録として書いていこうかと思います。

 

✔怖さのレベル

先んじて、どれくらい怖いかの話をしておきます。
MAXが10だとしたら、個人的には6-7くらいですね。
私はJホラーをメインで見ているので、所謂ドッキリ系よりもじっとり系が好きなのでそっちの観点からのレベル付けになりますが…はい、しっかり怖いです。 

比較対象として、昨年公開された貞子DXはこのレベリングでいうと2くらいですね。同じくらいの怖さだと、ネトフリ版呪怨より1段階マシなレベルです。
かといって、恐怖ばっかり!な作品でもないので、ある程度耐性があれば全然見れると思います。筆者はホラー苦手な人の感性がわからないのであくまで目安にして下さい。


✔Jホラーが陥りがち展開じゃない

これが1番嬉しかったです!
最近のJホラーは、最終的にミステリー・スペクタクル・バトルのどれかに割り振られる事が多いです。ミンナのウタでも怪異の謎を追うためにミステリー要素は入りますが。

でも「残穢」のようにそれが主軸にはならず、ちゃんとホラー映画として機能したまま展開していきます。それがすごく良かった。あ、残穢残穢で大好きです。(笑)

あと、恐怖の根源を遡ったら可哀想な人だった…みたいなのはホラーとしての純度を下げると個人的に思ってるんですが、そこもなんやかんや根源は純粋悪っていう、なんとも理不尽なオチでよかったです。妙な感動展開や恋愛展開がないのも加点ポイントです。


✔構成の巧妙さ

3日以内に解決しないとギャラが発生しない、という探偵の期限。これが超よかったですね。
ホラーってストーリー性を持たせるのが難しくて、ホラー演出だけが続くと全体的に話が間伸びする事があります。

ミンナのウタでは、最初から時限付けることで、あと2日だ!とか、今日は最終日だから何か起こるんだ!みたいに観客も意識できる。これにより、間伸びして「いつまで続くの?」みたいな余計なことには意識が向かなくなる。上手いです。ホラーにとって没入できなくなるのは致命なので。

構成として、伏線回収のように最後にパズルがハマる演出がありますね。
探偵のボールペンのノック、涼太くんのしゃっくり、マネージャーの首、亜嵐くんの指など……あの時のあれはそうだったのか、という。シンプルに面白い。

そういう違和感を拾っていくのがホラーの醍醐味でもあると思ってるので、ギミック的な演出はかなり楽しかったです!

 

✔設定の活かし方
アーティストという職業だからこそ最終的には霊に利用されてしまうという構図は、成程なと思いました。
この霊は無差別で、対象は誰でもよかったっていう設定。それはそれで理不尽な恐怖はホラーの根幹なのでいいんですが、映画として成立させる為には必然性も必要。そこで、GENERATIONSが標的になってしまうっていう内容が霊の目的とマッチしてすごく良かったです。

今回、GENERATIONSからは一応全員ではありますが、数原龍友くんは演技面では未出演です。
その穴はGENERATIONS全員が揃えば揃う度に明確になりますが、今回それを上手くカバーしてます。
全員に平等に見せ場を作るんじゃなくて、まず演技仕事に長けている白濱亜嵐くんをメインの役にする。そのあとのメンバーは個人によって結構差があって、涼太くんなんかホラー要素の割合ではほぼ出てません。しかし、その事が逆に龍友くんの欠員を意識させない事に繋がってます。
ホラーは皆でわちゃわちゃしててもしょうがないので、今回みたいにバラバラに役割が定められているのもすごくよかったです。

 

LDH的演出

この映画は実在グループが題材で、事務所や現場もそのまま使用している場面があるのでLDHが好きだと倍楽しいです。

OPからがっつり見覚えのある事務所。

冒頭のアメイジングコーヒーは、我々オタクがいつも飲んでるやつです。マキタスポーツさんが「美味しいな」とか言う。哲也さんの顔が脳裏によぎります。

リハルームや会場も、よく見るものでした。だからこそ身近なところに潜むホラーが怖く感じるのかもしれません。

メインの場所は別所で展開されますが、たまに出る濃厚なLDHみはオタクにとってはクスッと笑える場面でした。

 

✔GENERATIONSの演技について
私は基本演技には甘口なので、よっぽど下手じゃない限り苦言は呈しません。出演したGENERATIONSは元来全員が演技経験者ですしね。
と、いうのも、まあ本人役という部分は大きいと思います。中務裕太くんや佐野玲於くんは本当に、本人のイメージに近いです。
ただし1番演技歴が長く、メインの役どころになる亜嵐くんは、作中ではクールでとっつきにくいようなリーダー像になってましたね(笑)。でも普段の亜嵐ちゃんから離れすぎず、現実と役がいいバランスでした。

、ンディーさんもバラエティを思わせるように、振り切った芝居になってました。これが緩和になった方もいたでしょう。
佐野さんの恐怖の演技も最高でしたね…。叫ぶでもなく、ただ固まって諦めてるようなあの芝居はすごくリアルで良かったです。
裕太くんの芝居も……もう、最高です。あれは演出も最高なんですが。リアリティが凄い。個人的に好きなメンバーなので贔屓目も入ってしまうんですが、裕太くんは寡黙で訳ありげな芝居が上手すぎですね。
隼人くんと涼太くんはほぼ冒頭のみですが、これも良いですね。7人を描写するのが難しいので早々にひとり退場させるのを起承転結の起にしてます。起になる事で注目度は上がります。涼太くんの落ち着きある存在感は、一癖ある探偵や個性的なメンバーの中で、ストーリー的に安心感がありますよね。隼人くんは素直に恐怖するっていうのが、展開的にもバッチリでした。

 

おわりに

大好きなJホラーの巨匠・清水監督の初心に戻るような怖さを追求した作品に、個人的ファンであるLDHが題材になるなんて夢のようでした。

終わり方も、後味が悪くて最高です。超バッドエンドより、なんとなく嫌な終わり方をされる方が嫌で、好きです。(ややこしい文面で恐縮です笑)

昨年の貞子DX(川村壱馬出演)や今年の本怖(片寄涼太出演)など、これからももっとLDHとJホラーが関わってほしい!そう思える作品でした。

PS .

マキタスポーツさん、強心臓すぎる。